核兵器廃絶・・・まやかしの論理

<題名;核兵器廃絶・・・まやかしの論理>R3-8-15  

 日本が核攻撃を受けて、たった2発の核爆弾による人命の損失と被害の大きさに恐れ慄いて戦争を終結した後、アメリカとソ連は核爆弾の破壊力の大きさに飛びつき、武器としての本格的開発に乗り出した。そして最近までに、国土の広いアメリカ、ロシヤ、中国等なら10数発、国土の狭い国なら数発の核弾頭ミサイルで壊滅させる事が可能な究極の兵器として大国が競って保有した。第2次大戦後、大きな戦争は何度もあったが、核兵器の製造と保有は大国の略管理下にあって、核兵器による攻撃は核兵器によろ報復攻撃を招く、との認識のもとに、広島、長崎以外に使用された事はなかった。核兵器の使用阻止は核兵器に因って成り立っていた。

 だが、工業技術の進歩により、現在では、ほどんとの国で核兵器の製造が可能となっている。そして、軍事的衝突は激しさを増して世界各地に拡散している。この様な状況の中で、一国の命運を賭けた戦闘が躓いた時、指導者にとって、核兵器の使用は勝利を確実にできる最高に魅力的な兵器として映るだろう。

 現在、世界各地で起こっている戦闘に終息の気配は無い。むしろ激しくなって拡大の気配が濃厚である。戦闘中の彼等は核兵器を手にする事を強く欲している。いずれ彼らは核兵器を手にするだろう。私は、今後10年以内に世界のどこかで核兵器の使用があるだろう、と思っている。

 核兵器の廃絶はありえない。廃絶が本当に実現すると思っているなら、現実を理解し得ないよほどの馬鹿だし、ありえない事を知っていて廃絶を叫んで人々を煽っているなら、許しがたい裏切り者だ。

 核保有国が最も恐れるのは核による報復なので、核を防ぐには核しかない。現在、日本に照準を合わせて発射態勢にある核弾頭ミサイルは数10発に及ぶとされる。これ等ミサイルによる攻撃を抑える手段は、核による報復体制を整えるしか無い。日本は、真に国家国民の安全を考慮するなら、核兵器保有を早急に実現すべきだ。

 

      福島 勇 ; 作家(主たる分野;理論生物学、理論物理学

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